第23話
優奈、聞こえてる?
心に響く音
結局、聞かせてあげられなかった俺の音
何処かで聞いてくれてるのか?
ロスに来てすぐに書き始めた曲
彼女に伝えたい思いを綴った
夜空を見上げると、メロディーラインが降ってきて、慌てて録音した
優奈にで出会わなければ、また、歌おうとは思わなかっただろう。
自分の声で伝えたいことが出来たから
すべて、君と出会えたから
「お嬢様、最近お忙しそうですね」
「うん、いろいろと...ね。
葉山...明日は朝早いから、車はいいわ」
「早くても構いません」
「...ほんとに、いいから」
「かしこまりました」
明くる日、早朝
「おはようございます」
「葉山、いいって」
「私が何もわからないとでもお思いですか?」
「え?」
「すべて、決着をつけてこられたのですね?」
「...うん」
「ならば、私の仕事も終わりです」
「葉山が辞めることは」
「いいえ、私はお嬢様の運転手ですから...
さっ、どうぞ」
「でも、もう」
「運転手だからではありません。あなたの友人として」
「ありがとう。友人なら、後ろはおかしいわ。隣に乗せてくれる?」
「ハハハ、そうですね。どうぞ」
空港への道のり
葉山はいつもとは違うリラックスした様子だった。
高速をしばらく走ると、不意に懐かしそうに話し始めた
「昔、私にも大切な人がいました。
私には手の届かない世界にいる方で...。
結局、彼女を自分の手で幸せにすることが出来ませんでした」
「葉山...」
「優奈様は後悔してほしくないと思っていました。何が1番幸せか?なんて、人それぞれ違うもの。自分で切り開いていくものです。
その先に何があろうとも進んでみないとわかりません。
...私にはそれが出来ませんでした」
「その方...今は?」
「きっと、幸せにしていると思います。
この空の下の何処かで...」
「そうだね。きっと...」
「着きました。どうぞ、お元気で」
「お世話になりました。本当にありがとう」
「お嬢様...とお呼びするのもこれで最後になりますね。
いってらっしゃいませ。お嬢様」
「いってきます」
深くお辞儀する葉山が頭を上げただろう時、私は振り返り、同じようにお辞儀をした
顔を上げると、今度は笑顔の葉山が手を振ってくれた
ありがとう。
私...後悔しないよ
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