第19話

声を聞く度に

どんなにかこの温もりを感じたいと思ったか...

現実に彼女を抱きしめた時、

俺は自然と溢れるものを止めることは出来なかった


「瞬...やっと、会えたね」


両手を伸ばして俺の頬を包んで笑った優奈


顔を見られるのが恥ずかしくて、もう一度引き寄せて耳元で言った



「すぐに...抱きたい」


「うん...」


そう言って、首に手を回した彼女を抱き上げた


ベッドに沈めると優奈は細い指で俺の髪をといて言った


「瞬.....今夜は...ずっと、ずーっと離さないでほしい」


そう言うと、必死で下唇を噛んで耐えていた涙が目尻からこぼれ落ちた


「...わかった。ずっと...な」



瞬の唇が重なると身体の中心がズキっとする。

それは痛みとは違って、痺れるという感覚に似てる


口内を暴れるように動いた舌を追いかけるだけで、息が苦しくなって、

焦るように這っていく指先に身体を捩らせる


「アア、ハッ、しゅん...」


太腿を撫でる掌が辿り着く場所


「...優奈...もう...こんな」


「やっ、ぁ」


彼の指が曲がる度にどんどん溢れ出て


「止まんないよ?」


「だっ...て、瞬のこと...愛し...てる...からだよ」


「...っんなこと、今、言うなよ、お前のこと壊しちゃいそうになる」


「いい...よ。壊して...」



泣きそうな掠れた優奈の声に

俺の身体が一気に熱くなった


乱暴に彼女の白い肌にたくさん紅い花を咲かせ、震える膝を押し広げて繋がった


「アッアッ...ンッ......ッ」


「優奈、そんな顔、俺にしか見せるな」


「ぅん」


「俺だけにしか」


彼女の心も身体も離したくない

誰にも、渡したくない

全身でそう、伝えたかった


ぐったりと倒れ込んだ俺の指をそっと掴んで彼女は唇にあてて、目を瞑った


「瞬...愛してる

全部、全部、愛してる

この指先までも」


「優奈、さっきから、ズルいよ。

俺の言いたいこと、みーんな言ってる」


荒い息のまま、深いキスを交わした俺達は

何度も求め合った


触れ合う場所が一瞬たりとも、隙間が出来ないように


青い月明かりは甘く切ない2人の夜を

包んでくれているようだった

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