第17話

会えない日が続くと、

俯く日が多くなる

おはようとおやすみを

1番に言いたい人が初めて出来たのに...


父に見張られてること、それは薄々感じていたし、今、彼の部屋に行ったらきっと迷惑がかかると思った

でも、もう、既に私の知らないことが動き始めてたんだね


「もしもし、優奈、今夜は星が見えるよ」


「ほんとだねぇ

瞬..《星の王子さま》のお話知ってる?」


「知ってるけど、ちゃんと読んだことねぇなぁ」


「お話の中にね、こんな言葉があるの


《君は夜空に瞬く星を見る時、

僕がそれらのうちの1つの星に住んでいて、

そこで笑っているから、君には全部の星が笑っているように見えるはずだよ》

って。

瞬は王子さまだからいつも笑ってくれてるんでしょ?」


「......優奈」


「んー?」


「いやっ、いいわ」


「気になるじゃなぁーい」


「ほんと、大したことないよ。寒いからあったかくしろなってこと。おやすみ」


「うん、おやすみ」



優奈........会いたい

ほんとはそう言いたかったんだ

けどさ、俺の方から弱音を吐くなんて、かっこ悪いだろ



俺達は欠かすことなく、電話で話した

遠い昔、会いたくても会えない2人が恋文をしたためたように。

空を見上げて、お互いを思った


今の時代に馬鹿らしいと笑われるかもしれないけど、俺達にはそれしかなかった


アイシテルと抱きしめて、伝えたくとも

叶わなぬことだったから。


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