第11話

会えば会うほど

また、会いたいと思う

もっと、触れたいと思う


俺の優奈への思いは

どんどん加速していってた


心と身体が繋がったあの日から

度々、彼女は俺の部屋を訪れた


日が高いうちに来て、暮れてゆく頃に抱き合い、静かな夜になると、そっとベッドを抜け出す優奈


*☼*―――――*☼*―――――


《物語は1話へ》



抱き合った後、いつもなら、少し眠る彼女なのに、今夜は窓から月を眺めてた


未来を見てる...なんて、

切ない顔で言うから、俺は乱暴に彼女を抱いてしまった。


帰らないといけないという時間は過ぎてたけど、ぐったりと横たわる彼女を帰したくなかった


今夜は朝まで一緒にいたかった...

けど、重ぃ身体を起こして、身支度を始めた優奈



「なぁ、やっぱ、帰んな」

「だから、それは何度も」

「じゃあ、ちゃんと言えよ」

「...」

「言えねぇなら、帰さない」


「...ちゃんと決まった時間に帰らないときっと、瞬に迷惑がかかることになると思う。

それが、嫌なの。......会えなくなったら、

辛いの」

「どういうことだよ?」


「私が帰らないときっと、探し出すと思う。

ここにいることが、分かれば、瞬と会えなくなる」


優奈はそう言った途端、一気に涙が溢れ、

しゃくり上げるように泣き出した


「瞬に...ヒック...会いたい...から...ウウッ」


背中を向けた彼女を後ろからギューッと抱きしめた


「ごめん、もう、聞かないよ。

...送るよ」


クルリと向きを変えて俺の胸に震える唇をあて、まだ泣き続ける彼女の髪を撫でた


そして、

また、俺は月明かりの下

彼女を車に乗せて、走った




静まり返った部屋に戻ると、

リビングにパスケースのようなものを見つけた


彼女の学生証?

K大学 法学部

桐島 優奈


K大学って、あの名門の...


もう、聞かないって言ったけど、

やっぱり、知りたかった


俺は次の日、大学に向かった

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