第9話
瞬に抱きしめられると
すべてのことこから守られてる気持ちになる
こんなに安心する場所があったなんて
知らなかった
「ねぇ、もう...離して」
「どうして?」
「だって...まだ玄関だよ、瞬の部屋、見てみたい」
「あっ、そういうことかっ、じゃ、離す」
「何?それっ」
腕を緩めた彼は私の手を取って中に案内してくれた
「すごーい、おっきな窓だねー」
リビングの窓から街が一望出来る
「いいから、座れよ、これ、ワイン?開けていい?」
「いいけど、もう飲むの?」
「だって、優奈また、いつもの時間には帰らないといけないんだろ?」
「...ごめんね」
「謝らなくていいよ」
「うううん...瞬.....何も言わなくてごめんね
私の家は皆が思う普通...じゃないのかもしれない
「普通じゃないって?」
「まだ、言えない...けど、
だから、いつも決まった時間には帰らないといけないの」
「優奈って、シンデレラみたいだな
っで俺が王子様だろ?」
「あっ、ほんとだぁー」
「ハハハ、それでいいよ」
「え?」
「そんな風に笑ってんのがいい
最初はにっくたらしいこと言ってたけどな」
「ひどーい」
「あー、やっぱ、飲むのやめた
ここ、座って」
ソファをポンポンと叩く彼の横に座った
「瞬...あの、ね」
言葉を遮るように重ねられた唇
「ンン、だから...」
離れた隙に話そうとしてもすぐにまた塞がれる唇
「はぁ、瞬....」
「優奈、もう、喋んなくていいから」
抱きしめた時も
キスした時も
震えてた優奈
きっと、何もかもが初めてなんだろうって思った
それなのに、迷いなく俺に委ねてくれる彼女がたまらなく愛しくて、そんな彼女だからこそ、
大切にしなきゃって...
でも
柔らかい唇とキスする度にキュって俺の腕を掴む指先を感じると抑えきれなくなるんだ
「優奈...俺...お前のこと、わかってんだけど...」
彼女は大きく首を横に振っていつもの癖、
唇を触って俺の腕の中で顔を上げた
「違うの...私...瞬に愛してほしいんだよ...
ただ、ちょっぴり不安なだけ」
「......大丈夫だから。優奈はなーんも考えなくていい」
「何も?」
「そ、あっ、間違い。
俺のことだけ、考えてて。
俺のことだけ...感じててくれればいい」
コクリと頷いた優奈の
瞼に触れるだけのキスをし、
抱き上げると
首元に顔を埋めてる
「優奈、見てみ」
窓一面が夕陽でオレンジ色に染まってた
「きれーい」
小さな声で言って俺の顔を見て微笑んだ彼女の鼻先にチュッとして、
寝室のベッドへそっと下ろした
真っ白なシーツの上に初めて会った時と同じグリーンのワンピースを纏った優奈が彩りを放った
恥ずかしそうに伸ばした手を握りしめ、
彼女の鎖骨にキスを落とした
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