第8話

明け方の月を見てると、

ふと君に逢いたくなるんだ

声が聞きたくなるんだ


スタジオで朝を迎えた。

彼女と会ったのもこんな日だったなぁ、なんて思ってると自然と顔が緩んだ


「相澤さん、最近よくにやけてますよね?」


「そんなことねぇよ」


こんな朝方に電話しても寝てるだろうな

LINEでも入れとくか


『いい曲、出来たんだ

優奈に聞いてほしい』


あれ?既読になった

俺は高校生かっ


『聞きたい』


『じゃあ、今日俺んとこ来る?』


『いいの?』


『うん、嫌?』


『嫌じゃないけど、

迷惑じゃない?

周りの目とか』


『大丈夫。逆に堂々と入ってくれば怪しまれることはない』


『でも、また、夜には帰らないと』


『わかってる』


『何時頃に行けばいい?』


『今から帰るから、いつでもいいよ

場所は後で送るな』


『了解』


スマホの画面を見ながら、また、顔が緩んでたに違いない


「また、にやけてます」


「っさいなぁー。俺、帰るから。お疲れ」


「お疲れさまです」


ダッシュで帰って、部屋を片付けた

いつもなら、シャワーを浴びて、昼頃まで寝てしまうのに、眠気なんて、全くなくて。

やたら、ベッドを整えてる自分が恥ずかしくなってきた


はぁー、まじでやばい





瞬の部屋に行くんだよね

好きって言ったんだよね

ってことは私達...

あー、どうしようー

何着ていこう?ってそこ?

朝から行くのも悪いかな

でも、長く一緒にいたいし


あれやこれやと思ううちに時間が過ぎ

午後になってしまった


向かう途中、ワインとチーズ

ブルーローズの花束を買って彼の部屋を訪ねた


「遅かったね」


「そう?

買い物してたから

これ」


「うっわぁ、すっげぇ綺麗」


「フフフ、良かった」


「ちょっ、優奈、こっち来て」


「ん?」


私から荷物を取り上げて

床に置くと瞬は優しく包み込むように抱きしめてくれた


「会いたかったぁー」


彼の声が耳の奥に響いて

胸が苦しくなった


好きが

大好きに

ランクupしたんだ







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