完全世界

☆  ☆  ☆

 

 目覚めた朝が朝だと解ったのは、平和を知らしめる小鳥の囀りと、爽やかな風になびかれる窓のカーテンの音だった。

 身体にかかっていた薄い毛布をどけて、ログハウスのような造りになっている部屋を見渡す。自分が寝ていたベッドに、身形を整えるために使う三面鏡があり、その前に立った。足下から頭部まで余すことなく映っている自分が、継続して導師の《少女》でいることを確認した。

「マオー? 起きてるー? 朝食の準備、できたわよー」

 ねぼすけな子供に呼び掛ける母親のような台詞を発したのはリターニャ・ガードレッドであり、そんな彼女に母親みたいと率直に言えば、『やっぱり私、老けているのね』と過度に心配させてしまう想像ができた。

「僕は逆に、幼くなっているような……」

 容姿こそはあの時……実現された少女のままでいたが、恰好がちょっと……ピンク色のパーカーに、下はキュロットスカート……デパートのゲームコーナーではしゃぐ子供のようで、どうしたものかと思いながら部屋を出た。

 リビングには香ばしい匂いが漂っている。フライパンを片手にエプロン姿が似合うリターニャは、キッチンに立っていた。

「今日はマオの好きなベーコンエッグを作ったわよ。飲み物はお茶とミルク、どっちがいい?」

 素の僕であれば前者を選ぶところであるが、可愛い(自分で言うのも烏滸がましいが)少女である今の僕は、

「ミルクでお願い」と返事をした。

「オッケー。温めている間にディオネも起こしてちょうだい!」

「別にいいけど、リターニャ……僕達は結局、どんな未来を生きることになったのだろう?」

「あまり深く考えなくてもいいんじゃない? こういう平凡な日常が流れているだけでも、凄く楽しいわ」

 それもそうだな、と思い直した僕は頷き、一度リビングを出た。

 

 温かい家庭の空気に満ちている舞台を用意したのは……《彼女》がかつて、書いた小説らしい粋な計らいだった。

 

 山荘のロッジみたいな家屋にはいくつもの部屋があったが、声がする扉へ向かい、ノックをせずに開けた。

「……うう……星五のレアキャラ率〇・一パーセントのガチャゲーはゴミとおっしゃられても……星三以下のわたくしには何もできないのであります……」

 奇妙なディオネの独り言は寝言であった。フカフカの枕に顔を埋める彼女は魘されていて、夢の中で過去の不幸を味わっていた。

「『もう低レアキャラの顔を見たくない』とは言わないでください……わざわざ何万何十万も課金しているプレイヤーさんが好んでガチャを回しているのでありまして……わたくしは何も悪くないのに……」

 これ以上聞くと僕の心が悲鳴をあげそうなので、ディオネの肩を粗雑に揺らした。

「ディオネ、朝だぞ」

「ああっ……ソーシャルゲームに費やした時間と金銭は果たして何に還元されるのか……そんなことも解っていない愚者に課金させる利益形態はまさしく……半グレ乃至指定暴力団と遜色ない悪徳集団なのであります……」

「その喩え、非常に同意したいがあまり言葉にしない方がいいよ」

「んん……マオ様……そんなところでは……ダメですっ……すぐ近くでリターニャ様もいるのに……わたくしのふんどしを取らないでください……」

「急に夢が変わった!? そしてディオネは常時ふんどしを着用している!?」

「――わわっ! お、おはようございますマオ様!」

 僕の驚声をアラームにして、ようやくディオネが目を覚ました。ボリュームのある赤髪を乱し、顔半分が隠れている。

「一体どんな夢を見ていたのさ」

「ああっ……あれは夢だったのですね。よかったのであります。まさか、私が反ソーシャルゲーム勢力の党首になって演説を行っていた時、突然マオ様が壇上に乱入して、『ソシャゲーは低所得者に属する中高年にとってのドリーム小説……けだし、努力せずとも夢が叶うゲームは悪影響を与える』と助言をしてもらったのですが、講演費代わりでわたくしのふんどしを要求されたのでありまして」

「とても夢らしいシュールな世界だな……」

 苦笑いを浮かべつつ、ソーシャルゲームの悪しき風習に苦しめられたトラウマが未だに残っているディオネの現状を鑑みて、彼女の髪を整えてあげながら気遣った。

「ディオネが個性を失ったあの世界は、もう存在しない。今はもう、自由に生きられる未来が先在しているのだから、自分がキャラクターであることを意識せず、一人の存在者としてやりたいことをやっていこうよ」

「そ、そうですよね……わたくし、ディオネ・ブレアはレヴァルシアの白兎で生まれたキャラであり、《この通り》世界を立て直すことを目的に生きるクローラーでもあります!」

「その調子だ。さあ、ディオネ。ここからは平凡な日常であっても、僕達が幸せであれば誰からも文句を言われないのさ」

「はいっ!」

 ディオネへの励ましが終わると、二人でリビングに赴く。

 

 矩形のダイニングテーブルには既に、ベーコンエッグを含めた無難なメニューが並んでいた。マグカップから湯気がうっすらと沸き立っている席につく。

「味噌汁は塩分控えめにしたわ」

「熟年夫婦みたいな配慮だね」

 ババア扱いは止めて頂戴、との一声が入るかと思ったが殊の外、リターニャは鼻歌でおたまじゃくしをリズミカルに整列させて、機嫌が良いことをアピールしていた。

「リターニャ様、夫婦と言われて嬉しいのでありますね」

 椅子を引きながら、ディオネが小声で教えてくれた。適当な言葉が見つからなかった僕は、取り敢えずはにかんだ。

「先に食べていていいわ。お弁当、作っているから」

「弁当?」

「ええ。ちゃんと《五人分》用意するわ」

 五人分――なるほど。

 それで僕は、リターニャが望む未来予想図を安心して了承できる。

「あの二人も、来るんだな」

「きっと、ね」

「ええ、来るに違いありません」

 ディオネと並んで箸を手に取り、カウンター越しのシンクで調理を続けているリターニャの背中を見ながら、ゆっくりと流れる時間の中、懐かしいともいえる味わいに感動する。「味噌汁、具だくさんで美味しい」「リターニャ様、お料理上手であります」

 僕達より賛辞を贈るとリターニャは振り向かずに、

「お世辞はほどほどに、ね」

 サバサバとした返事をしたが、隠している表情は僕の頭の中にいる想像上の彼女と一緒に違いない。

「こういう日常シーンだけのソーシャルゲーム、流行るかな」

「難しいけど、マオ達のリライトであれば世間に滲透するんじゃないかしら」


 緩い雰囲気が続く中でも、人と人との会話を等身大に描き、自然主義に相応する文学こそ……《彼女》が昔から傾倒していた信念だった。

 

「未来についてあまり深く考えなくてもいいって、言ったけど……」

 弁当箱のパーティションに盛り付ける手を止めず、リターニャは喋り続けた。

「私達、どういう過去を辿っていたのか……今回のリライトでどういうストーリーラインに繋がるのか、想像するのも楽しそうだわ」

「それも悪くないな。もし、僕達の現在に何かしらの解釈が為されるとしたならば……」

 三人が黙って熟考し、最初に口を開いたのはディオネだった。

「仮定一……永久塋域で創始者を倒した導師と魔法使いの一行は、水上日葵さんの救出に成功したのでありますが、創始者の暗黒魔導を強く受けた日葵さんは後遺症を負い、創始者が消滅して平和になった世界で明るく暮らす導師達は、どこか後ろめたい気持ちをひきずっているのであります……」

 未来の道筋に新たな物語を与えたディオネは、邪推でありましたと自己否定を加えてマイナス符号を除去するプラスの苦笑いを浮かべた。

「では、バットエンドを考慮しない過去にするわね」と、リターニャが提案した。

「仮定二……創始者を倒し、陰鬱な重力のように世界を覆っていた闇が消え、創始者は魔法使い達と平和に暮らすことになった。勿論、その魔法使いの中には水上日葵の姿もあったが……『魔法使いアイドルグループを結成したい!』という彼女の強い意向もあり、取り戻した魔法少女の光はライブステージで輝くこととなる……」

 ダークファンタジーからアイドルへの転換を考えたらしいが、リターニャの顔は険しい。

「自分で言っておいて何だけど私、アイドルになりたくないわ」

「でしょうね」

「一応、ソーシャルゲームの要素は残しておいたけど、やっぱり《彼女》は……その程度の低地平で語られるストーリーは妥協だと感じているわね」


 間違いなかった。《彼女》は僕達を……チープな物語の起伏で利用するなど、最早考えていない。

 例え、それが大多数のプレイヤーにとって疑問を呈する形式のシナリオであっても、慣れ読んでいたシナリオこそ間違っていることを証明する、先鋭的かつ自然主義の文学であればプロローグのトリガーが引かれ、新時代のムーブメントを実現するに違いない。


「仮定三……永久塋域で、導師はついに創始者を追い込み、喪失させる処迄来たのであるが……創始者を単純に倒すだけでは世界は救われないと、導師と覚醒した水上日葵が看取した。そこで、導師は女神になり……水上日葵は天使となって……創始者はその名前通りの力……言わば世界を一から創り直す《リライト》を駆使し、創始者……いや、《彼女》の本音と良心に世界改変を託した……」

 僕等がやっていることは限りなくフィクションに近いことであるが、僕等が書かなければならないことは限りなくノンフィクションに近づけなければならない。

「その結果、導師と魔法使いは光に満ちた世界で平凡に暮らし、彼女達の存在する場所には水上日葵と……創始者の姿もあった。皆が手を取り合い、共存する現在には闇の影は一欠片もなく……ある日の朝は何てことない朝食から始まり……皆の眠気を軽く覚ます電話のベル音で緩やかに物語が進んでいく――」 


 僕の先駆と『彼女』のストーリーラインが一致し、まさに今、その時。

 部屋の角に布置されている固定電話が鳴った。


「仮定三が事実のようね」

 振り向いたリターニャは目顔で、僕に電話を取れと言っている。

その要求に応じることもできれば断ることもできる状態が自由であるけれども、一択しか許さないこの意志が自由からかけ離れているとは思えない。

「もしもし?」 

 受話器を取り、返答した相手は意外でなく必然だった。

「――おはよ、土岐瀬さん」

「日葵か。朝からどうした?」

「あら、忘れちゃったの? 今日はみんなでピクニックに行く約束、したのに」

「ふむ。そんな約束、いつしたっけ?」

「前世から、って言ったら鼻で笑う?」

「――大笑いしてみようか」

 僕は愉快な笑い声を響かせ、リターニャは弁当箱を風呂敷に包み、ディオネは御茶碗についた米粒を一つ残さず丁寧に食べる……誰もが幸せそうにしていた。

「もう準備はできているさ」

「よかった。もう、土岐瀬さんの家の前に来ているよ。『おねえちゃん』と一緒に、ね」

「――おねえちゃん」 

 ハッとして、即座に受話器を置いて走り出していた。家の間取りを把握しておらず二度ほどトイレの扉を開いてしまったが、やがて玄関に到達した。

 フローリングから降りて初めて自分が裸足でいることに気付いた。

 けど、靴を履く時間すら惜しく、走る勢いを殺さず肩で押すようにドアを開けた。

 

「ここは……」

 新緑の森と……瑠璃色の花弁で一面を彩るネモフィラの花畑に出迎えられている。

 ドアの音に反応した小鳥達が樹々から飛び立ち、視界は空へと誘導されていく。

 天空のキャンパスは爽やかな青で塗られ、わたあめのような雲が微速で流され……。

「キョロキョロしてどうしたの、土岐瀬さん。私達、ここにいるよ」

 春の匂いと共に運ばれた水上日葵の声音に、僕の視点は正面へ回帰した。

 日葵はリュックを背負い、山ガールに属する動きやすい恰好でいて……嬉々として僕を出迎えながら《彼女》としっかり手を繋いでいた。

 

 彼女……音羽瑞嘉は、日葵とお揃いのジャンパーにハーフパンツ、スニーカーを履いて、澄んだ瞳で僕の破顔を映している。


「舞於……また可愛くなったの」

「それが挨拶代わりの第一声か?」

「だって、実際にそうだから。世界を救い……私を救い……日葵ちゃんも救い……甚大な達成感を得たヒーロー乃至ヒロインの充実した日々が、見た目にもしっかり反映されているの」

「そのヒーロー兼ヒロインの理論はちょっと……僕も一度言った(いや、瑞嘉のシナリオに言わされた、か)けどさ、どうも僕はヒロインという感じでは……」

「何ら不自然ではないよ。土岐瀬さん、流行りのアイドルグループに紛れていても、全然問題ないのね」

 日葵こそ、そのアイドルグループの最年少を務めるポジションに相応しいと思ったが、そんな彼女に褒められると悪い気がしない。

「僕とヒロイン像の検討はさて置き、二人はそうか……姉妹になれたのか」

「うん。日葵ちゃんがそう願って、私を許してくれたから」

「もう世界を壊しちゃダメだよ、おねえちゃん」と日葵が冗談っぽく言うと、

「解っているの。でも、誰かが苦しんでいるソーシャルゲーム……別世界があったなら、その世界は壊そうと思うの」

「無論、了承するよ。おねえちゃんは土岐瀬さんと同じ、私達キャラクターを愛してくれているリライターであることを証明してくれたのね」

 日葵の肩に手を回し、身体を寄せる瑞嘉は僕を見た。

「舞於、ありがとう。私、舞於のおかげで素直になれたの。自分の創造欲を制止して、仕様書に正確に沿ったシナリオを書くことだけがシナリオライターの価値だと思っていた過去の私を変えてくれたのは、あなたの《愛》なの」

「愛……」

 直球な言葉を伝えられて、思わず胸の鼓動が速くなった。

「間違いないわ。マオには諸存在もとい私達空想的存在を生きる人間として配慮してくれる、愛があるわ」

 後から追ってきたリターニャが同意し、

「その愛は一般論で説明できる愛とは別物であります。マオ様の愛は……フィクションを極限までノンフィクションに近づける不断の努力があるのです」

 ディオネも遅れてやってきて、思いをぶつけてくれた。


 かくして、さらば魔法少女の光は書き換えられる。

 誰かが死ぬことでユーザーに絶望と期待を抱かせる流行からの断鎖……。

 そして、ソーシャルゲームに中身のあるシナリオを強引に教示する、リライト……。

 音羽瑞嘉のシナリオ改変は、世界のユーザー志向其物を捻じ曲げ、自らの物語こそ上書きされる流行だと断言する革命に等しい。


「改変プログラムを多用すれば、いつか僕達の創作こそソーシャルゲームに不可欠だとマジョリティから崇め奉られ、ヴァニティでも好き勝手に企画提案できるさ」

「舞於はこれからも、会社で働くのね」

「経済的な憂慮もあるが、瑞嘉が与えてくれた場所は大事にしたいから」

「……そう」

 花の香りを運ぶ風が吹き、視界に広がる光景全てが現実を超えたリアルな時間に閉じ込められていながら、桃源郷のような理想世界も裏側に潜んでいる……二律背反の感動を覚えた。

「舞於はいつだって、主人公なのね。私の物語でいるときも、私を引っ張ってくれるヒーローであり、私が守りたいヒロインでもあって……」

 瑞嘉も矛盾した感情に心を揺さぶられ、全ては一つの結末へと収束していく。

「さて、ピクニックに行きたいけど、瑞嘉のリライトは無事成功したんだし……私達の役目はここまでかしら」

 折角お弁当作ったのに、ここでエンディングを迎えるようじゃ勿体ないわ、と口惜しく語るリターニャから光の粒子が四散し、ほどなくして全員が共鳴するように輝き出した。

「大丈夫だよ。また、みんなと会えるのね。土岐瀬さんとおねえちゃんがみんなを繋ぎ止める……鎖になっていると私は信じているよ」

「同感だ。でも、日葵にはもっと、楽しいイベントを用意してやりたかったけどな……」

「出番の多さにはこだわっていないよ。瑞嘉さんが傍にいて、土岐瀬さんと会えて……それだけで、私は成仏できる呪縛霊と同じ心持ちになれるのね」

「ちょっ……日葵ちゃん。死人みたいなこと、言わないでよ」と、瑞嘉が日葵の肩を叩いて注意すると、

「おねえちゃんがそれ言うの?」

「瑞嘉さん、そもそも日葵さんを殺す強制イベントを書いたのに……」

 日葵とディオネは窘めるように、くすくす笑った。

「……ごめんなさい」

 しょげる瑞嘉に、リターニャも快闊に笑った。

 

 ――これでいい。笑いの絶えない世界であれば、僕は満足だった。人間味のあるキャラクター達と触れ合い、喜怒哀楽を共有する……そんな物語が今後増えていくことを強く希求し、叶えられるための努力と信念を曲げてはならない。

 

「ピクニックは……別のゲーム舞台で行けたらいいな」

 何気なく呟いた僕の一言で、皆が和気あいあいと会話を展開する。

「あっ、名案ですね。となれば、日葵さんも連れていけるように調整します」

「調整? ブレアさん、何か策があるの?」

「日葵さんもクローラーになってくれれば、電子空間を旅する存在になれるのです」

「いいわね、それ。私達のホーム……レヴァルシアに招待できれば完璧ね。ミズカも来られるだろうし」

「嬉しいのね。みんなで自由に世界を往来できるのね」

「何か、みんな普通に超越的なことを話しているの……」

「ねえ、ガードレッドさんとブレアさんがいた世界にも魔法があるの?」

「ええ。典型的な剣と魔法の世界ね。ファンタジーは嫌いじゃなかったんだけど、主人公崇拝主義のストーリーに嫌気が差しちゃって」

「でも、土地などの雰囲気は悪くないのです。サンセットビーチや空中庭園、城塞都市など幅広い舞台が用意されているのであります」

「旅行気分で行ってみたいな……おねえちゃんも一緒に二泊三日で、どう?」

「え? 私も国内旅行みたいな感じで行けるの? というより、リライト目的での世界干渉じゃないから……」

「別にリライト目的じゃなくても、遊びに来てもいいわよ。マオだってこの前、私とディオネの三人で……レヴァルシアにある浜辺ではしゃぎ回ったわ」

「へえ……みんな水着で? 土岐瀬さんもビキニを着て?」

「ええ……さらば魔法少女の光に来る前から舞於、ずっと性転換していたの?」

「引かないであげようよ。土岐瀬さん、可愛いからいいのね」

「マオ様の水着姿はまさに、マーメイドに劣らない美を体現していたのであります」

「良かったわね。あなた、女の子として生きてもみんなから愛されて」

 

 誰かツッコんで訂正してくれ、と僕が発言したのを最後に――。

 

 現実世界で僕が潜んでいた場所……駅前のカフェの掃除用具入れに視点が切り替わり、聞き慣れている洋楽のシックなBGMで日常の感覚を取り戻した。

「あんなオチの台詞で良かったのかな……」

 さらば魔法少女の光で得た後悔が、それだった。

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