第6話
「大学へ行くなら理系じゃなきゃダメだ。理系は潰しが効くからな」
僕にはそういったものの、妹にはそうは言わなかった。
潰しが効くという「理系」に進んだ父は、母と結婚するために研究室を去り、師事する教授が斡旋してくれた企業に入り、「コネ入社」の看板を背負って生きてきた。
頑固でゴルフ以外は趣味もない人生を母とその子供達に捧げてきた。
何のために生きてきたんだろう?
手足を打ったり、怪我をしたり、高熱で寝込んでいる時も、一切弱音も呻きもしなかった彼が、狂ったように叫んでいる。
恐らく、千本の刀剣で全身を串刺しにされているような痛みを感じているのだろう。
どうして延命治療を選んだのだろう?
死んでしまえば楽なのに。
どうしてそこまで生に執着するのだろう。
僕は正直、惨めったらしくて仕方がなかった。
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