第4話 ゴッホの心情
小さい時からゴッホの「アルルの跳ね橋」という
絵が好きだった
そこに描かれている川辺、土手伝い、並木道・・・
幼い頃によく連れて行かれた実家の田舎にある
それと同じような情景だったから
だから「アルルの跳ね橋」は特別な思い入れがある
懐かしき郷愁の誘う心象風景とどこか重なって見えて
いたのだ
そんなこともあってゴッホの生き様にも興味があった
ゴッホは常に精神病の発作で悩み苦しみ抜いた末に
自ら死を選んだという
だけどそれは決してゴッホが望んだ帰結では無かったと
思う
何故、ゴッホは温暖な気候の南仏アルルに赴いたのか?
何故、あれほど向日葵や太陽を好んで描いたのか?
それはいずれも「死」では無く「生」の象徴だったから!
ゴッホは本当は死への不安や恐怖から逃れて明るい世界で
生きたかったのだろう
誰よりも「生」への終着と憧れと夢希望を見出したかった
だが然し、もう一人の負の自分であるゴッホが発作的に
自分自身を死へと追いやってしまったのだ
この時、この瞬間の状況も含め、決して安易な想像では無い、
直感的に、ゴッホの心情が痛いほどに解るような気がする
ゴッホは本当は生きたかったんだと
自分でも解らないが、ずっと「死生観」を引き摺りながら
人生を渡ってきて、単に「アルルの跳ね橋」が好きだった
以外に、ゴッホの死生観とは如何なる思いだったのだろうか
などと感慨に耽ることも多くあったのだ
きっと「死ぬことで発作の苦しみから逃れたい」気持ちと
一方「生きたい!明るい太陽が降り注ぐ世界で生きたい!」
相反する対峙の思いが交錯していたのではないだろうか?
と勝手に想像した
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