第3話 膵臓がんの疑い

元々、若い時から持病があった

ある時、背中のみぞおち辺りがチクリ、チクリと

段々に、ズキン、ズキンと痛みが増して行った

今迄経験もしたことの無い、不気味な痛みが走った

恐ろしいと思ったのは、下痢や嘔吐も出始めて

わずか一か月間で15kgも激痩せしてしまった

慌てふためいて、病院に駆け込んだ

最初、異様な痩せ方に膵臓ガンも疑われ、自分も

「死」の一字が脳裏に浮かんだ

あれだけ死生観を引きずって生きてきたくせに

何だ、だらしがない、いざとなれば生きたいのか?

自分自身に問うたが答えが見つからなかった

再検査の結果、病名は慢性膵炎だった

毎日、毎日、点滴投与が繰り返され、徐々に回復に

向かっていった


数十年が経ったが、たまに背中のみぞおち辺りに

チクリ、チクリと不気味な痛みが走る

再発か?

当時の闘病期が思い巡ってくる

しかし同時にこんな俺なんか膵臓ガンにでもなって

死んでしまえばいいんだ

そんな投げやりなマイナス思考の気持ちと変な期待が

頭を過ぎる

「死」への期待が・・・


だけど本当に自分が余命幾ばくも無いと知ったら

どうしようもないくらいどん底に突き落とされたような

ショックに恐れ慄き、立ち上がることも出来ないだろう


そんなジレンマの葛藤に板挟みになる連続の日々だった



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