フォッサ---アニメでかばんが居なくて荒廃してしまった後のジャパリパークにて。
じゃんぐるちほーでは、一心不乱に広大な密林の中を飛び移る、黒髪のフレンズの姿があった。
一匹のセルリアンが、そのフレンズを見つけて大きな咆哮を上げた。
それと同時に、そのセルリアンは黒髪の、大きな尾を持つフレンズ――フォッサへと体を向け、己の身に取り込もうと触手を伸ばした。
だがフォッサは、悲鳴も上げず、ただそのセルリアンを見つめていた。
そしてついに、その触手はフォッサの足元まで達した。
瞬間、フォッサは跳躍しながら後ろへ、後転しながら触手を見つめた。
フォッサはその体を軟体動物のように横に曲げ、一瞬後、そのセルリアンの触手を己の持つ大きな尻尾で打ち返した。
しかしセルリアンは動じず、もう一本の触手を彼女へと向けた。
フォッサは言った。
「大きい尻尾だろ?」
彼女の体力は既に、消耗しきっていた。
だが、今はひたすら走って倒すばかり。
休憩のしようがないのだ。
セルリアンは再び咆哮を上げた。
そしてその触手は、疲労し動けない彼女に、平手打ちを加えた。
その衝撃はとてつもないもので、フォッサの肉体は後方に飛ばされた。
「う……ぐっ……。」
フォッサは声にならない悲鳴を上げた。
身体中が鞭で打たれたかのように痛い……痛い?
いや、そこまで痛いものではなかった。
彼女の肉体は水を巻き上げ、木に衝突する際に、その水が彼女の肉体が木に衝突した時のダメージを和らげたのだった。
フォッサは目の前の自然に有り難みを感じながら、その水を一口飲んだ。
すると、みるみるうちに力が湧いてきた。
そうだ、自分ならあのセルリアンを倒せる。
そう確信した。
……そして、次の瞬間。
彼女は大きく跳躍すると、あっという間に大木の上へと登り終え、またも大きく跳躍した。
セルリアンは顔を上げると、またも懲りずに触手を繰り出した。
フォッサはそれを見ると、何故だかそれへ対して背を向けた。
そして、触手がその身体に衝突する寸前。
彼女は勢い良く身体を横に曲げると、その反動を利用し、セルリアンを己の持つ尾ではたきでゴミを除けるように叩いた。
セルリアンは後方に倒れた。
しかしその動きは留まる事を知らず。
セルリアンは起き上がると、飽きもせずにまた彼女の方を向いた。
――ダメだ、倒せない。
彼女は思った。
そのセルリアンの身体をよくよく見ると、弱点の石らしき物は見えなかった。
それさえ壊せれば、このセルリアンは活動を終え、バラバラになるはずなのに。
フォッサは“恐ろしいこと”の原因を目の前に、何もする事は出来なかった。
一歩後退りをした。
そしてまた一歩、また一歩と。
もしもここで止められていたら、幸いだったのかもしれない。
そんな事に彼女達が気付いたのは――。
のコる脅威ハ後 ■†■ 。
けもフレ戦闘描写集 柊木緋楽 @motobakaahomaker
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