カバ+---アニメでかばんが居なくて荒廃した後のジャパリパークにて。
ジャパリパーク。
その遥か上空で、一匹のセルリアンが大きな音を立てながら粉砕された。
同時にそこから、一つの影がハヤブサのようなスピードもさながら、華麗に地上へと降下し――着地した。
「全く……なんでこうなったのかしら。」
その影の持ち主のフレンズは酷く心を痛めていた。
この頃のジャパリパークはとてもいつもと同じような状態とは言えず、これまでも多くの仲間を失ってきた。
特に野生解放という能力をもってしても、その力を上手く活用出来ないフレンズや、戦闘が得意でないフレンズ達は、どんな手を使おうとカバに救う事は出来なかった。
「サーバルは大丈夫かしら。」
彼女は言った。
そのフレンズを思い浮かべながら。
そんな時だった。
「や、やめるのだあ!」
そんな声が、どこかから聞こえて来た。
恐らく、フレンズの声だろう。
彼女はその声を聞くと、ゆっくりと周囲を見回した。
彼女はそのフレンズの姿を見つけた。
アライグマだ。
だが、いつも彼女が一緒にいる筈のフェネックが居ない。
そして、そんな彼女の目の前には、彼女の力では到底勝てないような大きさのセルリアン。
これは、助けぬ訳には行くまい。
「本当に面倒ね。」
カバはセルリアンを見据えると、その目を氷のようにぎらつかせて走り出した。
そして彼女は野生解放……それさえも飛び越え、野生覚醒を行った。
セルリアンはアライグマに近付き、その身体を取り込もうと身を広げた――。
瞬間、カバは大きな声を上げ、広大な大地を駆け抜けてそれに飛び掛かった。
両手を顎のように構え、セルリアンの攻撃を妨げた後、素早く後ろへ回り込む。
カバはそれを見て気が付いた。そのセルリアンの中には、一人のフレンズの姿があった。
フェネックだ。
一度セルリアンに取り込まれると、意識は無くなり、セルリアンのコアを破壊しない限り、時間が経つと、フレンズは元の動物へと戻ってしまう。
カバはそれを案じて、瞬きをするような早さでセルリアンの身を見渡した。
そして彼女は見つけた。
セルリアンのちょうど頭頂に位置する石――コアを。
カバはセルリアンの体を一瞬にしてよじ登ると、片手を大きく振り上げ、コアを破壊した。
セルリアンはガラス張りの窓のような音を立て、勢い良く爆ぜた。
残る脅威はあと9つ。
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