エバーワールダーという悟り


 ガロウに醤油と味噌のできかたの仕組みを教えた。

 料理に取り組む時のガロウは、ヤマメを相手している時のように真剣な顔している。二人に取り入る隙は恐らくだがないだろう。

 完成させる為には時間が必要だというと、こしらえた物を入れた壺や樽にガロウが手をついた。その後だんだんと懐かしい薫りがたち始めた。

「ちょ、ちょっと蓋をとって中身を見せてくれ。」

 大きな木蓋がはずれると赤黒い液体が完成していた。

「凄いですねガロウさん。一体どういうギフト何ですか。」

 ガロウは手を開いたり閉じたりしてみせると

「暴走…かな。オーバーワークともいうかな」

 なるほど。ガロウの家族の方々もガロウと同じような何かを促進させるギフトなんだろうな。それで農作業を行ってるんだ。



 ヤマメに食べてもらうために、味噌汁の入った鍋を運ぶガロウと船があった場所に向かう。

 そういえば今日は王を見ていない。

 ヤマメは相変わらず鉄屑をキューブ状に固める作業をしていて、出来ている4つ全て同じ大きさにしている。

 ヤマメの腰までの高さが60センチなのでそれより小さな立方体だ。

「あ、二人ともー。ごはんできた?」

「できたよ。ほら」

 鍋蓋を開いて中身を見せる。

「暖めてからよそうから。すこしまっててくれ」

 鉄のかたまりの上に鍋をおくと、ガロウは塊の横に座って眠り込む。

「ヤマメさん。思ったんですがあなた方の服って何で出来てるんですか。」

「多分ハーモニウムなんじゃないかな。僕らのことは、フヨウとツキヨの方が詳しいから今度聞けばいいよ」

 グリマラがハーモニウムの国といっていたが、元素の名前のようななまえのハーモニウムの特性が全くつかめない。

 ヤマメは肉とハーモニウムで出来ていて、ハーモニウムは光を反射し反射をエネルギーにかえる。

 太陽光発電のような仕組みだと分かりやすいが、ヤマメのように食事でエネルギーを賄うものがいるいじょう、完全に謎だ。

「ヤマメさんは、食べたものが体をめぐる感じしますか?」

「なにそれキモすぎ」

 ああ、ないってことはカロリーをエネルギー源にしているんだな。

「コロはするの?」

「ハーモニウムつけられてからは全く」

 ほんのすこしの湿気にも当たれず、石油中で保存される物質があったな。それだとすると露見している部分が石油のような役割を果たしていて、中に…いやそうならハーモニウムはれよ。

「僕が従者やってんのは元素魔法が使えるからなんだけどね、ハーモニウムについて考えるのは無駄だよ」

「今度は魔法?勘弁してくれ…いいとしした私がファンタジーの幻想でも見せられているんじゃないのか?」

「ある意味そうだよね。王って情報汚染されてあの姿だし。コロの今の姿も幻想だし」

「本当は200キロ超えますからね」

「あーでっかい」

「あーそいつはどうかな!」

 船の残骸の後ろからフヨウが誇らしげな表情で回って近づいてくる。モモワも設計図のような紙を持って出てきた。

「ハーモニウムには姿を記憶する力があるからどれだけ変身してももとの姿にもどーる!」

 液体になって人の家の納屋に染み込んだ人なので説得力はある。

「それってつまり、ハーモニウムをつけられた私はもとの姿にここを出ても戻らないんですか」

「そのはず。いずれ身体中全部ハーモニウムに侵食されて機能は全停止さ!生命は維持されるけど」

ちょっとまてよ

「少し失礼します」

 屋内に入り自分の部屋に戻る。

 扉を自分の体重で塞ぐようにして背中をつける。トータリアンは進化にともない、二足歩行になったことで急所を納めることがなくなった。流石に常にブラブラしているのはアレなのでパンツとかズボンが発明された。かつては頭部より大きかったものだが、もちろん小さくなった。それでも大きさへの誇りの違いは消えていない。

 ズボンの中身を見てみる。

「………山なし……?」

 もとあるべき場所に触れてみる。

「ない?」

 収まっているような箇所も存在していない。

「うそだろ」

 エバーワールダーってのは無性生命体なのだろうか。全員揃って無欲で悟りを開いたような連中の集まりなのか?

 いや、そんなことはない。ガロウは明らかにヤマメに惚れているし、愛という概念も存在しているようだ。

「異形タイプは増えれるようだが、他はどうなんだ?」

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