家族

 結局ホタルはフヨウがお手上げのポーズで出てくるまで隠れ続けた。出てくる時には隠れていた藁を燃やして登場した。ホタルは他の家族とは違い、黒髪だった。


 ホタルが隠れて続けられていた理由は変身の力によるものだという。フヨウいわく、今の私でもできるという。


「ツキヨにキラキラした粉を塗られただろ。あれの名前は、ハーモニウム。ハーモニウムは生命体に塗れば、生命体を構成する物質を吸収し、増殖する。全身ハーモニウムになったとしても、生命は維持されるから安心してね!」

「フヨウさんってツキヨとどういう関係で?」

「あー、複雑だけど腐れ縁の親戚ってとこかな」


 日が傾き始めてからヤマメとガロウは戻ってきた。


「…妹のヒトミだ」

「こんにちは!ヒトーミちゃんです!」


 すっかりなつかれたユウガを胸に抱えた私は、口を真一文字にして目をまあるくした。


「あれーユウくんこのオニーサンになついちゃったのー?珍しいー」

 腫れていた目は眠そうな目に変わっていて、ヒトミの声がうるさそうだ。

「コロ、ユウガを寝かせてから帰ろ。」


 ヤマメに腕を引かれ納屋の隣の屋敷に入っていく。屋敷の中も農具だらけで、使うためというより、コレクションしているようだ。


 ユウガの部屋だけは無駄なものがなく、綺麗さっぱりした子ども部屋だった。


 体にはまだ大きいベットにユウガを横たえさせてあげる。息つく間にはもうユウガは眠ってしまっていて、ユウガの寝顔を見ると残してきた家族のことを思い出した。


「これくらいの子と、それより2つ年上の子が私にはいる」


 隣のヤマメに話した。


「こいつら見ちゃうと家族ほしいとか思うよね」


「いや、もうなにもしてやれないと思って」

 ヤマメは自分の手に目を落とした。


 王がすこしクラクラとしてきた辺りで火豪家を後にした。

 帰りはできるだけ迅速にということで、フヨウが4人優にはいる大きさの箱になり、ヤマメの重力操作でそれを操ることになった。


「帰ったら豆料理だからね」

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