捕食者ヤマメ
仮住まいの部屋に、自分の物を置いていれば日は暮れ始め、差し込む光は赤くなっていた。
デモクラ王は自身の部屋で眠りについた。
光が力の源とは、こういうことか。光のある時しか動くとはできないのだ。
自分も寝なければならないのかと考えていた矢先、
チリンチリン
チャイムがなった。光のある時でしか動けないのではないのか。
「お邪魔するよー」
それに、入ってきた。王とよく顔を合わせる人しか今、城上町にはいないようであるから大丈夫なのだろう。
すぐさま玄関に顔をだす。私の気配に気付いた訪問者はこちらを見る。
「あんたか。珍しい、王のお客様ってのは」
訪問者は少女と少年の中間の姿をした茶髪の小さな人だった。
かわいい。ときめきを久しぶりに感じた。
小さな人は螺旋階段を登らずに二階に上がってくる。
「従者のヤマメ·エレメトだ。食事と、ランタン、蝋燭、マッチを持ってきた」
ヤマメは手すりの外からバスケットを差し出す。
体が思わず動きヤマメを抱き締めてしまう。
「うわあ!ちょっと!」
手から離れたバスケットは宙に浮き、落ちることはない
「貴方は、光が力の源ではないのですか」
「触ったら分かるよ!」
ヤマメの手は、淡白さを感じるものだった。私たちと同じように肉が詰まっている様だった。
多分ヤマメはツキヨのいっていた食べなきゃいけないタイプなのだろう。
「食べるタイプの他の連中はみんな別の国にいっちまって、残ったのは僕と野菜が食べられるやつらだけ。グリマラじゃ肉は食べれないよ。魚も海の奴等がショック受けるからとらない方がいいし」
「貴方は肉を食べるんですね」
頬をつねりながら尋ねる。
「ご、ごめんなさい。あんたの仲間ま今日のうちに食べちまったよ。スタミナ食って感じでした」
だから肌つやが良いのか。
そうこうしているうちに日はもう空から去り、辺りは暗くなっていた。
ランタンに火を灯す。傍らにはヤマメがいる。かわいい。
バスケットのなかみの食事は、パン染みた白い物体となにやら液体の入った筒だった。
白い物体を二つに分けてみる。中にはペースト状のものがたっぷりとはいっている。
液体はドロドロとした、繊維質な植物が混ざりあっているようだった。
「僕はたくさん食べるから、食べ物はこだわってみたよ。飲み物は基本要らないから適当に色んな栄養が入っているのを。」
一口飲んでみる。
苦い、甘い、青臭い、
「野原を食しているようです…」
白パンを放り込む。
これはとても美味しい。だが、この甘さと軽食感は水分がほしくなる。
「ドリンクはだめかー。デモクラの家って食器あったかな。ランタンもってついてきてよ、コロさん。」
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