部屋

カサイさんに背中を押され、怪しまれないように3人組を追い越す。


アキラのアパートの扉は開いていた。


部屋の中に1人の男が倒れている。


顔を見る勇気が出ない。

その生死もわからないまま、警察に電話をかける。


「友達の部屋で人が倒れています」


それだけ言うのにとても時間が掛かった。

倒れている男に近づくと、辛うじてまだ息はある。


しかしアキラではなかった。


全く状況が理解出来ない。

突如背後で音がして、驚いて顔を上げると玄関にアキラが立っていた。

彼はこちらを見て笑みを浮かべるとその場に倒れた。


部屋の中で倒れていたのはアキラの隣人だった。

アキラも共に救急車で運ばれた。ヒロキも付き添う。


病院の食堂で警察から聴取を受ける。

しかし現状でヒロキが話せる事は少なく、アキラと隣人が目覚めるのを待つしか無い。

どうやら大家いわく、隣人トラブルがあったようだ。古いアパートで、鍵が壊れやすかったから侵入したようだ。


不思議な事に、アキラの実家には既にアキラから連絡がいっていた。


不意にカサイさんと先輩の事を思い出し、外に出てスマホを見る。

「こちらは多分解決、明日カフェで」とだけメッセージがきていた。


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