第4話 遅刻 2
「ちげーよ!分かってねーよ!お前らのせいで普通の授業持つ事すら出来なくなってこれしかないからだよ!分かれよ!」
「そうなんですね」
「そうなんですよ。元々俺は体育の授業を持って、ついでみたいな感じで生徒指導担当だったんだ」
「まぁ、そんな顔ですもんね」
「それが気付けば生徒指導担当から外されたと思えば体育の先生じゃなくなってたんだ!本職失ってるんだよ!」
「それで給料もらえるなら良かったと思いますが」
「下がったよ!給料もちろん下がったよ!俺の失態じゃなくてお前らの行動で!」
「そうなんですね」
話長い、俺の授業時間奪ってんの先生なんだけどこれ提出物とかできなくても俺悪くなくね?
「これどう考えてもお前らが悪いよな?もう俺どうしたらいいかわからねぇよ」
「待ってください、さっきからお前ら悪いって言ってますが僕は悪くないですよ。先生僕が遅れた理由最後まで聞いてないですよねいつも」
「聞くまでもなくお前らが悪いのに言い訳するからだろうが」
「だから聞いて下さい。先生が生徒が原因で今の状況になったように、僕も他人のせいで今の状況になってるんです。まず、音の小さい目覚ましとしっかりと朝ごはんを食べさせた母。それのせいで電車には乗れないしそれで全てが乱れ遅刻に繋がりました。他人のせいで溜まった塵が、火の粉が僕に降りかかってます」
「だからなんなんだ」
「僕たちのせいで先生はこうなったんじゃなくて、他人の塵が積もりに積もって最終的に先生にまで被害を与えてるということです」
「なら、悪いのはこの場に居ない他人だということか……?」
先生は何かに気づいてしまったように頭を抱えて震えている。
これで決まった。
「先生も、僕も、被害者です。だから先生も楽になる方法を探して下さい」
失礼します。
斜構 守はなおも震えている先生に背中を向けて歩きだす。
上手いこと丸めてやったぜ。
俺は、俺たちは決して悪くない。
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