モノガミ
士栗鼠
ぷろろおぐ
春はいい。
桜は綺麗。ほどよく暖かい。こんなに素晴らしい時期は他にない。
僕が桜を好きになったのは、三歳の時。
両親と少し遠くの山へピクニックに行った時だ。
広場で遊んでいたところいつの間にか迷子になっていた。
どうしようと少しパニックを起こしたが、親と約束をしていた。
「もし迷子になったら、大きな桜の木に来てね。」
僕は泣きながら桜の木を目指して歩いた。
しばらく整備された道を歩くと、たくさんの人が写真を撮っている場所が見えた。
なんだ?と思って近づくと、大きな桜の木があった。
綺麗な桃色の葉。茶色の幹。本当に、綺麗としか言いようが無かった。
親は泣きながら僕に抱きついていたみたいだが、それがどうでもよくなるぐらい、本当に綺麗だった。
今でもはっきりと、鮮明に覚えている。
そして、今。十五歳。
桜の咲く綺麗な校庭と共に、僕の高校生活が始まろうとしていた。
モノガミ 士栗鼠 @kobobell
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