Twitter300字ssがお題『薬』だったんです
お題『薬』が発表されたとき、真っ先に浮かんだのが年末の病院の一幕。これから診察を受ける待合室で同人誌(文庫)を読んでいたら後ろの会話が耳に入った。
「あのね、薬が減ったのは良くなったからなのよ、いいことなの」
そうだよねえとしか思わない言葉だが、含まれるのは苛立ちと焦り。振り返ると私より年上だろう女性が、母親らしき女性の手を握っていた。
「先生も言ってたでしょ、症状がよくなったから減らすのよ、心配ないの」
何度も繰り返される説明に、母親は「だけど」「でも」と不安がる。
いいなあ、薬減って。
私の正直な感想はそれだ。すっごく多いわけじゃないが、通院も服薬もそれなりにある身としては、減って欲しい。ちなみによっぽど大発明でもない限り、もう一生減らない。(と言われていた)
説明と説得は続く。ところでここは会計を待つ待合室ではない。これから診察される人用だ。いったいいつの話をしているんだろう。
減ったのは今日じゃないのか。今日は定期の通院で、もしかしてずっと、減らして様子見と言われた時からずっと言い続けてて、今日も薬を再開して欲しいと訴えたい(そしてそれを止められている)のか。
ふたりの話は同じところをぐるぐる回るだけで進展しないので背景がサッパリわからない。
そしてこれを読んでる人にも残念だが、私は診察に呼ばれてしまい、事の真相はわからず終いだ。
娘さんは一所懸命説明してた。声を荒らげることもなく(まあ病院だから抑えてたのかもしれないけど)何度も何度も「いいことだから」「良くなったから」と。
なのに納得できない母親。
……減ると不安なんだね、うんうん。
けっこうなお歳なの。だからね。「もう出す必要ないでしょ」って見放されたと、ネガティブに捉えてるのかなって。
薬を「減らされて」、先生が信用できなくて、喜ぶ娘にも頷けなくて不信感。困るわその思考。つれえ。全員つれえ。
社会的にも多量投薬は問題になっているけど、なんのために薬はあるのかをわからず薬に頼りたい一心で「数」に走るひとのこだわりを見てしまった。
ってなわけで、暗いモヤモヤしかネタが出てこず、違う明るいのが書きたいし!薬減ったら嬉しいし!と、今回のを書きました。だって今薬セーブ中なんだもん~!夏になったら再開かもだけど!減らせたら増やせるんだよ!花粉症はけっこうMAXに近いのでこれ以上強いやつはもらえない可能性ある……
作品はこちら
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884575762/episodes/1177354054888397696
もうひとつ。
私は中学生で小児ガンサバイバーに出逢いました。それも2人同時に。
ひとりは今も元気で子供もいます。
ひとりは途中で失いました。再発を繰り返した彼と彼の両親を思うといまでも苦しい。そしてじぶんのしたことしなかったこと。
先日完結した『海街diary』1巻には、入院患者の周辺の『許容量』が語られます。『すごく薄情な態度で患者に接する人、けれどその人にはそれが精一杯で限界なのは本当なの。その人の許容量が少ないからと責めてもしょうがないの(要約)』
やーもーこれは痛かった。戒めとしてのバイブルですよ。あーあ。
別件で『いつも爽やかにアレしてる』と言われましたが、そして「うん同意」と大いに頷きました(本人)が、
創作で命を扱うことを、軽くしたくないなと、いつも思うのです。
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