第224話  策




親方と一緒に中央広場に行くとキングら一党およそ30人が子供たちを人質にしていた。



白昼堂々と見物人が大勢いるところで隠そうとも悪いことをしているつもりも微塵も感じなかった。



親方は「あんたたち、どういうつもりだ!うちの若い連中に何の用だ?」と聞いた。



「ガキどもには用はない!用があるのはこの前のやつだ!造船所の関係者だというのはわかってるんだ!奴をだせ!」とキングはさけんだ。



「奴って?そんな奴は知らん!造船所とは無関係だ!」と親方は言った。



貴族は「そうか、あくまでとぼけるのか?」そう言うと子供たちに剣をむけた。



「ちょっと!何をする!ワシはホントに知らんのだ!」と親方は叫んだ。



「お前らが知らないならガキどもにはもう用はねぇ!」と叫んで今にも子供たちを傷つけようとしている。




イングマルはこのままではまずいと判断して「あの人ならこのまちにはいないよ!」とさけんだ。



キングはイングマルに向き直り「貴様!奴を知っているのか!?」と叫んだ。




イングマルは「うん、知ってる。商売で知り合ったんだ、行商人であちこちの町を渡り歩いてる。」と説明した。




「そいつを連れてこい!」とキングは叫んだ。



「無理だよ、行商でどこにいるかわからない!でも月に一度の割合でこのまちに来るよ!」とイングマルは言った。



「よーし、そいつが来たらワシらに知らせろ!」とキングは叫んだ。




「わ、わかったよ。わかったからみんなを放して!」とイングマルは言ったがキングは「金を出せ!そしたら放してやる!」と言った。



イングマルは手持ちの金袋をキングに渡した。



キングは袋の金を見て満足したのか手下に合図を送り子供たちを放した。



「いいか!必ず知らせろ!いつでもお前たちを痛め付けることは出来るんだ!忘れるな!」とキングは叫んでやがてみんな引き上げて行った。





子供たちは親方にすがってびーびー泣いていたが幸い怪我はなかった。




とりあえずみんな無事でよかったよかったとホッとした。



みんなで馬車にのって造船所に帰り子供たちはみんなに慰められていた。




親方はイングマルに「どうする?お前ホントに知り合いなのか?」と聞いた。



イングマルは「知ってる知ってる。」と言い、のほほんととぼけていた。




とりあえず子供たちには外出禁止とした。


子供たちもすっかりおびえてしまって外出しようとはしなかった。


親方は「ホントにむちゃくちゃな奴らだな!いつまでこんな状態が続くんだ!まったく!」とぼやいていた。




「そう言えばお前、さっきの金はいいのか?」と親方は聞いた。



イングマルは「あ、いいよいいよ、ほとんど銀貨だったし、それに・・・いや、まあいいか。」と言い口をつぐんだ。



親方は子供たちが無事だからいいんだろうと思ってそれ以上は聞かなかったがイングマルは「この後、彼らの治療費には全然足りないだろうからね。」と思っていた。






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