第206話  獲物






夜に彼らは大挙してやってきた。


ドラゴン28人、獅子27人合計55人。


数の多さからか前回のようにこそこそしておらず、奇声を上げている。




「おらーッ!出てこいーッ!なめた真似しやがってーッ!覚悟は出来てるんだろーなーッ!」と叫んで造船所に入ってきた。




イングマルは久しぶりにクロスボウを取り出して、矢の先端に布や革を巻いた訓練用の矢を装填した。



フェンスの先であえて姿を見せて、先程から叫んでいる獅子の戦闘員犬ー1にむけて放った。



顔面に命中し「ギャー!」と悲鳴を上げて犬ー1は顔を押さえてのたうち回った。



「野郎ーッ!にがすなーッ!」と横にいた獅子のリーダーは叫んで追いかけた。



イングマルは素早く移動すると次のフェンスの端でクロスボウを構え、次に犬ー2を射った。



右のすねに命中し犬ー2はつんのめって豪快に転んだ。



皆「くそッ!くそッ!くそッ!」と叫びながらイングマルを追い続け、いよいよ足場の通路の罠にやってきた。



イングマルはわざと罠のなかを通り罠の端でクロスボウを構えて矢を放った。



そのままの位置で次を装填し放った。




ギャング団達は怒りで我を忘れて叫びながらイングマルに飛びかかろうとした。



もう少しで届きそうなところで丸太で出口をふさいだ。




彼らは手だけ伸ばしてイングマルをつかまえようとしたが届かず「このくそがーッ!」と叫んでいる。



イングマルは全員が罠にはいったのを確認すると短剣で罠のロープを切断した。




上から網が落ちてきて次に足元の網が「バシュン」と音をたてて持ち上がりギャング団全員が文字通り一網打尽となってしまった。





網の下から手や足がいくつもはみ出している。



重さで中央部は地面に付きそうになっていた。



彼らはなんとか這い出ようともがくが、もがけばもがくほど上からの目の小さなさな網が全身に絡まって動けなくなっていた。




イングマルは大喜びでこん棒を取り出して網からはみ出した手足を容赦なく殴って行った。



罠の中の獲物達は泣き叫んでいたが構わず殴って行った。



出ていた手足はすべて討ち据えたので今度は足場に登り、新しく作った竿で端からバンバン打ち据えて行った。



小麦や豆の脱穀でもしているように丁寧に正確に討ち漏らしが無いように打ち据えた。



竿が折れたら新しいのを取り出して徹底的に打ち据えた。



獲物達はうめき声と泣き声、漏らした糞尿とで網の下はベタベタになっていたがおが屑がすぐに吸収してくれた。



竿が全部折れてしまったのでイングマルは足場から降りて来てしばらく獲物達を眺めていたがやがて丸太の紐を切ると罠を解放した。



ドサドサとギャング団は落ちてきて上にかぶさっている網をはがしてやると次々とはって出てきた。




猫やネズミはそのまま解放すると悲鳴を上げて逃げて行った。



幹部やリーダー、戦闘員は怪我の具合を見てまだ足りないと判断したらこん棒で足のすねや鼻が潰れるほど殴って行った。





彼らは全員動けない程打ち据えられて、逃げ出す力も失っていた。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る