第142話 討伐軍5
フランシスの円陣はやられる一方で、まともに動ける者はもう10人以下になりフランシスは最後を覚悟した。
皆、既に重傷でフランシスも重傷だった。
最後は騎士らしく、勇ましく死にたいと思った。
自分を助けてくれたあの美しい剣士に、ひと目もう一度会って礼が言いたかった。
目をつぶって思い出していると、東の方から騎馬がかけてくる。
「新手がきたのか?いよいよ最後だなぁ。」と思っていると、包囲している盗賊団の周りを70mほどの距離からクロスボーを放ちながら走り回っている。
やがて単騎、イングマルが盗賊団の中に突入して獣のように盗賊団を襲ってゆく。
外からはクロスボーの援護射撃が続き、中からはイングマルが外からはクロスボーの攻撃で包囲していた盗賊団はたちまち逃げ出し始めた。
イングマルはできるだけ敵の数を減らしたいのでひとりで追撃した。
他の者には生き残った者とフランシスを回収し、馬車へ向かうよう指示した。
イングマルは持っていた矢の分の敵を倒した後、周囲を見渡し馬車に引き返した。
すぐに重傷者を手当てしつつ、ハーバーの町へ向かった。
ハーバーの町では「盗賊団がやってくる!」と大騒ぎになっていて、荷物をまとめて逃げ出す者たちでごった返していた。
ハーバーの街には一応城壁があるので大丈夫と思われるのだが、みんな冷静さを失っていた。
けが人を病院へ運んで手当てした。
フランシスはイングマルたちを見て驚いていたが、再び助けられた事を「感謝する。」と相変わらずのぶっきらぼうな表情で言った。
ローズはさっきの勢はなくなり、なんだか恥ずかしそうにもじもじしていた。
ローズのおかしな態度にイングマルは気持ち悪がっていたが、フランシスは「騎士として、勇ましく戦って死ぬつもりだった。」などと言い出すとローズの態度は豹変し「あんたの騎士道は上っ面だけなんだよ!!」と怒鳴りだした。
「勇ましく死ぬことが騎士道みたいなことを言って!!あんたが死んだ後、のこされたものはどうなると思ってる?!」
「生きている間中、死ぬよりも辛い目に会わされて苦しみ続けるんだぞ!!」
「みっともなくても生き続けて、この世のすべての理不尽や悪意と戦い続けるんだ!それが本当の騎士だ!!男ってもんだ!!」
男前のローズは激しい怒りだったがフランシスもみんなも納得したようで、フランシスはすっかりしょげてしまった。
ローズも向こうへ行ってしまった。
向こうへ行ってからローズは、そんなことを言うつもりはなかったのに偉そうに説教したことを後悔して落ち込んでいた。
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