第140話 討伐軍3
盗賊団の兵力はおよそ300。
しばらく矢の撃ち合いが続いていたが討伐軍は矢の目標が定まらず敵全体に矢を放ってたが、盗賊団は討伐軍の弓兵だけを狙って集中攻撃した。
盗賊団は討伐軍よりも練度が高く、最も後方にいた弓隊だが次々と矢が命中し倒れてゆく。
パール司令官は矢の攻撃にパニックになり、すぐ全軍に突撃するよう命じた。
騎士が先頭になり歩兵がその後に続く。
騎士は40騎ほどだが、横1列になって槍をかかげて突撃した。
盗賊団は重装甲冑をまとった兵が前列に1列に並び、騎士の槍より長い槍を片側を地面に突き刺して固定し、密集体形で構えた。
騎士は突っ込もうとしたけれど、長い槍のバリケードを見て急停止した。
槍は隙間なく並んでおり、近づけば馬もろとも貫かれる。
敵の重装ランス隊の前で躊躇している内、矢が飛んできて1人ずつ確実に倒されてゆく。
ゆっくりだが、確実に1人また1人と矢で倒されてゆく。
ようやく歩兵がたどり着いたが、分厚いランス隊の壁を前に突破できない。
槍同士で競り合っていたが盗賊団の重装歩兵には損害を与えられない。
その間に矢で次々と倒されてゆく。
どうにもならなくなって、歩兵も騎士も退却した。
討伐軍は何の戦果もないまま、多数の死傷者を出して両軍は再び川を挟んで対峙した。
討伐軍は軍を整えようとしているところで、負傷者の後送などでてんやわんやである。
そんなところへ今度は盗賊団が全進してきた。
突撃ではなく、歩く速度で全体がゆっくり近づいてくる。
討伐軍にはランス隊はなく、騎士と歩兵それにかなり数を減らしてしまった弓兵がいるのみ。
盗賊団は歩兵、ランス隊、弓兵と続いてやってくる。
数が少ないのに、ひるむことなく近づいてくる。
敵の弓矢の攻撃はずっと続いており討伐軍の弓兵に集中して攻撃を行い、ほとんど弓兵はやられて残らなくなってしまった。
続いて最前列の歩兵に矢が浴びせられ、歩兵はすぐに混乱して右往左往しているところに盗賊団の歩兵が突入した。
彼らは2人1組で1人の相手を倒して行く。
1団が突入し、乱戦となった。
疲れてくると引き上げ、次の1団が入れ替わって突入してくる。
そのようにして盗賊団は波状攻撃を仕掛けてくる。
戦闘では個人個人がそれぞれ勝手に相手を探しまわっているので、組織的なまとまりがなく戦果も限定的である。
相手を探しまわって動くので、戦場はだんだん広く散らばるようになってきて収拾がつかなくなってきた。
やがて太鼓やドラの合図で再集結が図られ、その日の戦いは再び両者にらみ合いで膠着した。
だが集結してみると討伐軍は半分ほどになっていて、多くのものが負傷していた。
多くの生き残りは逃げてしまったようである。
これに対して盗賊団はほとんど兵力に変化がない。
やはり初めに弓兵がやられてしまったことが痛手であった。
イングマルたちは討伐軍と盗賊団との闘いのことを聞いて、チャンスと思っていた。
彼らが戦っている間にみんな送り届けることができれば、安心して移動できると思った。
しかし戦いがいつまでも続くとは限らないし、戦いが小競り合いで終わるかもしれないし、どのくらいみんなを届けられるか不安であった。
もうひとつ考えたのは討伐軍と合流し協力して人買い集団を撃退する、と言うものである。
しかし勝利できればいいが討伐軍が負けた場合、たちまち自分たちが追い回されることになる。
どちらにしても不安材料しかないが、そんな時最新の情報を入手した。
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