第106話  教会の悪魔3







 「なんだって!それじゃあ、村に女の人がいないのは・・・・。」と生ゴミは聞いた。



「そうだ。この村で出来た子供は、女なら10歳でみんな売りに出すんだ。


必要以上の男が生まれたら、間引いて殺す。



子供を産む女はあそこに見える繁殖小屋で、子供を作るためだけに毎日交代で村の男と相手して過ごすんだ。



子供を何人も産んだら、壊れて使い物になるから、時々若くて新しいのと更新するんだ。


ちょうどこの前古いのを処分したから、お前たちの女の中から丈夫そうなのを10人ぐらい選んで後は出荷するんだ。



この村に来る旅の女も、みんな捕まえて売りに出す。


男の連れはここで全員処分する。」



そう言うと墓場に到着し、多くの人が埋められているであろう、丘みたいになっているところに連れて行かれた。




イングマルは「神様を信じてないのか!?こんなことをしてたら、バチがあたるぞ!」と泣きわめいた。




「はははは。ここいらじゃ、1番この村が教会に寄付しているんだ。

免罪符もいっぱいもらっている。

ここは昔からこうやって幸せに暮らしてるんだ。」


男はまったく悪いことをしているという認識がないようだ。




イングマルは「お願いします。僕は下男なんで関係ないんです。


帰っておじさんのところで商売の修行するんです。


見逃してください。」と懇願した。





「ダメだ!男はみんな処分。これ決まり。」そう言うと剣をさやから抜いた。




イングマルは観念したように「せめて最後にお祈りさせてください。」と頼んだ。


男はこれをゆるし、手足は縛ったままだが、袋から出してやった。




イングマルは小高い盛り土の上にひざまずいて、縛られている両手を合わせて、「許してください、許してください。」とつぶやき続けた。




男は、「おかしな祈りだなー。」と思いながら、イングマルの背後に回って「時間だ。」というと剣を振りかざし首を切ろうとした。







イングマルは一か八か、相手の振り下ろした剣に、縛られている両手の間を掲げて、うまく紐を切断した。




両手が自由になると相手の足をとって転がし、足で首をはさんでその首をねじ折った。




1人の首を折ったイングマルは、その拍子に足の紐が切れ、自由になると裸で立ち上がった。



剣を拾い上げて構え、あっけにとられていた残りの男2人をあっという間に殺害した。



男たちを倒したのを確認すると、ふーとため息をした。






興奮して気付かなかったが、ロープを切断したときに当たり損ねて、左手を深く切っていた。




しかし出血はそれほどひどくないので、倒した男の服を破って腕に巻き、その上から紐を巻いて固定した。




盛り土の周りには、旅の途中で立ち寄り、殺害された人々の荷物や道具類が散乱していた。



その中に錆びた短剣を見つけ、イングマルはそれを拾い教会に急いだ。










イングマルは教会の出入り口を全て外からロープと鎖を使って開かないようにした。



教会の屋根に登って換気口から侵入し、侵入した教会の中はほとんどの村人でいっぱいで、教会の中央に女たちが横たわり眠りこけている。




村人は、そんな女たちを興奮して値踏みして誰を残し、誰を出荷するかでもめていた。



イングマルは後ろの端から順に、相手の口を押さえ首を掻き斬って行く。





村人たちは女の値踏みに夢中で、全く気付かない。







女たち数人はもう目が覚めていたのだが、直ぐに状況を把握し、騒いでパニックになるといけないと思い、まだ寝たフリをしていた。






やがて、床が血で濡れだしてから、ようやく村人は異変に気付いた。



一斉に振り返ると、すでに数多くの死体が転がっている。






「わー!!」と叫び声が上がったとたん、イングマルはそこらにある包丁や、倒した村人の剣やナイフを使って、どんどん刺して行く。




両手を使って刺して行くので、1秒ごとに2人以上の人が倒れてゆく。




村人は悲鳴を上げて扉に殺到するが、どうやっても開けることができない。



人々が密集している所めがけて、イングマルは飛び込んで殺戮してゆく。




村人は走り回って、悲鳴をあげながら逃げ惑うが、血ですべってうまく走れない。





教会内の椅子や机を台にして窓から逃げようとするが、たちまちナイフが飛んできて倒される。



剣やナイフを持っている村人もいるのだが、血まみれのイングマルは恐ろしい獣にしか見えず、はじめから戦意を失って逃げ惑うばかりだった。








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