第1246話夜裏に千鳥の鳴くを聞きし歌二首

夜裏に千鳥の鳴くを聞きし歌二首

※夜裏:夜半、夜中


夜ぐたちに 寝覚めてをれば 川瀬尋め 心もしのに 鳴く千鳥かも

                       (巻19-4146)

※夜ぐたち:夜中を過ぎた頃。

夜くたちて 鳴く川千鳥 うべしこそ 昔の人も 偲び来にけれ

                       (巻19-4147)


夜も更けて眠れないでいると、川の浅瀬を伝って、本当に侘しそうに鳴く千鳥たちがいる。


夜も更けて、鳴く千鳥 そういうことだったのか。

古人もこの鳴き声には、心を引かれてしまったことが、よくわかる。


この二首の元歌は

柿本人麻呂

近江の海 夕波千波 汝が鳴けば 心もしのに いにしへ思ほゆ


山部赤人

ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木生えふる 清き川原に 千鳥しば鳴く


二首とも、名歌中の名歌。




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