第1244話春の日に 萌れる柳を 取り持ちて

二日、柳黛(りゅたい)を攀(よ)じて京師を思ひし歌一首

※柳黛(りゅたい):新緑の柳の葉を、人の眉として見た言葉。中国史に多い見方。

※京師:天子のいる都。


春の日に 萌れる柳を 取り持ちて 見れば都の 大道思ほゆ

                     (巻19-4142)


春の輝く日差しを受けて、芽吹く柳の枝を(手折って)手に取って見ると、奈良の都大路が、実に懐かしく思い出されてしまう。


大伴家持とて、人間。

いかに大君の命を受けての地方赴任であっても、望郷の念は、ある。

柳を見れば、都大路の柳を思い出してしまうのである。

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