第1098話中臣朝臣宅守、狭野弟上娘子と贈答する歌(13)
世の中の 常の理 かくさまに なり来にけらし すえし種から
(巻15-3761)
※すえし種から:「すう」は据える、置く、捲くの意味。「自分で捲いた種のため」の意味になる。
我妹子に 逢坂山を 越えて来て 泣きつつ居れど 逢ふよしもなし
(巻15-3762)
旅と言へば 言にそやすき すべもなく 苦しき旅も 言にまさめやも
(巻15-3763)
世の中には、変わらない道理というものがあり、その道理によって、このような悲惨な状態になってしまったのです。しかも、自ら捲いた種(失態)により。
私の愛しい妻に逢えると言われている逢坂山を越えて来たけれど、逢う方法などないのです。
旅と、口で言うのは簡単ですが、このような苦しい旅も、「旅」という以外の詞では、表現する方法などないのです。
これも、中臣朝臣宅守の歌。
特に、自ら捲いた種(失態)により流罪、しかも、新婚早々で。
許されて都に帰る見込みも不透明で、途方に暮れる日々を過ごす。
これでも、新婚早々でなければ、まだ気は楽だったと思うけれど。
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