第1036話我が面の 忘れむしだは 国はふり
我が面の 忘れむしだは 国はふり 嶺に立つ雲を 見つ偲ばせ
(巻14-3515)
私の顔を忘れそうになる時は、故郷からあふれるように湧いて嶺に立つ雲を、私と思って偲んで欲しいのです。
旅立つ男にが、残す妻から贈った歌と思われる。
古来、雲は人の霊魂や心の象徴とされていた。
旅立った男は、故郷の方向の山の峰に見える溢れる雲を、妻の心と見て偲ぶ。
妻の心だけではなく、おそらく笑顔や泣き顔も、その雲に映ったのかもしれない。
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