第1020話風の音の 遠き我が妹が 着せし衣

風の音の 遠き我が妹が 着せし衣 手本のくだり まよひ来にけり

                        (巻11-3453)

※風の音の:「遠き」にかかる枕詞。

※手本のくだり:着物の袖の縫い返しの折り目。

※まよひ来にけり:織り糸がほつれて来ること。


遠くにいる妻が着せてくれた衣の袖口が、ほつれて来てしまった。


長旅で、妻がいる家とは、かなり距離ができている。

せっかく妻がこしらえて着せてくれた衣の袖口が、ついにほつれてしまった。


遠い場所にいて、妻との関係の「ほつれ」も、予感したのかもしれない。



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