第1008話新田山 嶺にはつかなな 我に寄そり

新田山 嶺にはつかなな 我に寄そり はしなる子らし あやに愛しも

                         (巻14-3408)

※新田山:群馬県太田市北方の金山(かなやま)と言われている。平地にある小さな山で、かつて新田氏の居城がおかれた。

※つかなな:「なな」は東国方言。打消しの意味。

※はしなる子らし:寄り添いもせず、無関心でもない、中途半端な子。


新田山は、どの嶺にも寄りつかない。

(あの子も、他の男には寄りつかないで欲しい)

私と噂されているけれど、まだ中途半端なあの子が、可愛くてしかたがない。


可愛い子であるからこそ、他の男に取られる不安がある。

今は噂になっているけれど、どうにも、あの子はフラフラとして、他の男に愛想がいい。

そうなると、ますます愛しくて欲しくなるとの意味と解釈した。

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