第970話大船の 思ひ頼みて さな葛 いや遠長く

大船の 思ひ頼みて さな葛 いや遠長く

我が思へる 君によりては 言の故も なくありこそと

木綿たすき 肩に取り掛け 斎甕を 斎ひ掘り据ゑ

天地の 神にぞ我が祈む いたもすべなみ

                (巻13-3288)


大船に乗ったように心から安心して、さな葛のように長く伸びて続いて欲しいと、

私が恋する貴方のために、諍いも起きないようにと、

木綿のたすきを肩に掛け、斎甕を土を掘って据えて、

天地の神に私はお祈りをするのです。

貴方のことが、恋しくてならないので。


古代の神頼みの手段になる。

現代では、よほどの人でないと、知る人はいない。

万葉集だからこそ、その手段と、思いを伝えてくれる。

その意味で、貴重な歌と思う。



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