第969話玉だすき かけぬ時なく 我が思へる 君によりては

玉だすき かけぬ時なく 我が思へる 君によりては

倭文幣を 手に取り持ちて 竹玉を 繁に貫き垂れ

天地の 神をそ我が祈む いたもすべなみ

                  (巻13-3286)

※倭文幣:しつぬき。倭文は日本古来の簡単な模様の織物。幣は神への捧げもの。


反歌

天地の 神を祈りて 我が恋ふる 君にかならず 逢はずあらめやも

                  (巻13-3287)


心にかけない時などはなく、常に私が思いを寄せている貴方のために、倭文の幣を手に持って、竹玉を緒にびっしりと貫き垂らし、天地の神という神に祈るのです。

恋しくて仕方がないので。


天地の神という神に祈って私は恋をしています。

だから、貴方には、必ずお逢いできると思うのです。



恋人に逢いたくて、神頼み。

実際の神頼みの状態を見たいと思うけれど、現代では無理で、なおかつ野暮。

神頼みをしているから逢えるはずと詠む心は、実に可愛らしい。


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