第941話渡会の 大川の辺の 若久木
羇旅発思
※羇旅発思:旅の中で思いを発する歌。家や妻を思う男の歌などが多い。
渡会の 大川の辺の 若久木 我が久ならば 妹恋ひむかも
(巻12-3127)
※渡会の大川:三重県伊勢市を流れる川。五十鈴川説がある。
※若久木:久木は、水辺に多いキササゲ。
渡会の大川のほとりに立つ若久木の、その名前のように、私の旅が久しく続くと、私の妻は恋しがるかもしれない。
「若久木」を見て、その名前から連想して「我が久ならば」を導いている。
妻が恋しがると詠みながら、実は自分が恋しがっている。
そうでなければ、そんな連想はありえない。
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