第934話思ひ出で すべなき時は 天雲の

思ひ出で すべなき時は 天雲の 奥処も知らず 恋ひつつそ居る

                       (巻12-3030)


貴方のことを思い出してしまって、どうしようもない時は、空に浮かぶ雲の行きつく先がわからないように、私の心も全く抑えられません。

ただひたすらに、貴方のことを際限もなく、恋し続けるのです。


「天雲の 奥処も知らず」は、素晴らしい表現。

思い出した途端に、どうにも自分自身では抑えきれない恋心。

抑えようと、すればするほど恋心はわき上がるばかり。




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