ぬば玉の　わが黒髪を　引きぬらし　乱れてもなほ　恋ひわたるかも

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（巻11－2610）

黒髪を引きほどいて、髪も心も乱れています。

乱れながらも、なお、貴方を恋い続けています。

古代は、相手が、自分への思いがあれば、自分の髪が自然に解けると考えられていた。

しかし、この女性は、自ら黒髪を解き、相手の思いを呼び込もうとした。

しかし、「恋わたる」、恋し続けているのだから、相手は来ないのだろう。

髪を自ら乱し、心も乱れて、来ない相手を恋し続ける女。

哀感さえ感じてしまう。

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