第813話里遠み 恋ひうらぶれぬ まそ鏡

里遠み 恋ひうらぶれぬ まそ鏡 床の辺去らず 夢に見えこそ

                      (巻11-2501)


あなたのお里との距離が遠くなったのでしょうか。

なかなか来られないので、すっかり沈んでおります。

いつも床の近くにいて、いなくなるなどはなさらず、まそ鏡のように、いつも夢に見えて欲しいのです。


古代の俗信では、相手が自分のことを気にかけていれば、夢に出て来ると思われていた。

作者は、縁遠くなった彼氏に、失意の中、夢にでも出て来て欲しいと、鏡の前で髪をとかしながら、願うのである。

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