第799話春霞 葛城山に 立つ雲の

春柳 葛城山に 立つ雲の 立ちても居ても 妹をしそ思ふ

                     (巻11-2453)

※春柳:「かずらにする」にするの意味から、葛城山の枕詞。


春日山 雲居隠りて 遠けれど 家は思はず 君をしぞ思ふ

                     (巻11-2454)


葛城山に、しきりに立つ雲のように、立ったり座ったり、しきりにあの娘のことを思っているのです。


春日山が雲の向こうに隠れてしまって遠いけれど、家のことは思わず、あなたのことだけを思っているのです。


二首とも、多少距離があり、なかなか逢えない相手への歌。

やはり、簡単には逢えないからこそ、想いは募るのである。

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