第699話我が背子が 白たへ衣 行き触れば

我が背子が 白たへ衣 行き触れば にほひぬべくも もみつ山かも

                       (巻10-2192)

※白たへ衣:楮の樹皮から採った繊維で織った白布の衣。


私の彼の白い衣が通りがかりに触れただけで、染められてしまうような美しく紅葉した山なのです。


白い衣が触れただけで染まってしまうかもしれないと思うほどの、美しい紅葉山なのだと思う。

気にかかるのは「我が背子が」の句。

紅葉山が、美しい女性を表現している場合。

妻としては、美しい女性に我が夫の純白な心を染められたくない。

この歌には、そんな思いが込められているような気がしている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る