第622話春霞 たなびく今日の 夕月夜

春霞 たなびく今日の 夕月夜 清く照るらむ 高松の野に

                      (巻10-1874)

※高松:高円(奈良市春日山の南の山)。聖武天皇の遊猟や、離宮も置かれた。


今宵は、ふんわりと春霞がたなびく中、美しい月が見えております。

あの高松の野でも、清らかに照らしていることでしょう。


作者は、高松の野に、何か憧れのようなものが、あったのかもしれない。

だから、できれば、高松の野で、清らかな月の光に照らされたい。

ただ、何らかの事情があり、高松の野には出向けない。

出向けないからこそ、憧れや想いは、増すのかもしれない。


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