第617話冬ごもり 春さり来れば あしひきの

冬ごもり 春さり来れば あしひきの 山にも野にも うぐひす鳴くも

                          (巻十1823)

※冬ごもり:春にかかる枕詞。

※あしひきの:山にかかる枕詞。


春が来たので、山にも野にも、うぐいすが鳴いています。


実にシンプルな春とうぐいすの歌。

しかし、冬が姿を消し、春が来て、山にも野にも、緑が増し花も咲き出し、その安心感と美しさを喜ぶかのように、うぐいすがあちこちで、その可愛らしい鳴き声を響かせている。


余計な技巧がないだけに、春到来の喜びをさらに増すような、名歌と思う。


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