第584話宇治川にして作りし歌二首

宇治川にして作りし歌二首

巨稤の 入り江とよむなり 射目人の 伏見が田居に 雁渡るらし

                        (巻9-1699)

秋風に 山吹の瀬の とよむなへ 天雲翔る 雁にあへるかも

                        (巻9-1700)

※巨稤の 入り江:宇治川西巨椋池の入り江。

※射目人の:伏見の枕詞。狩人が伏して獲物を待つため。

※山吹の瀬:所在未詳。宇治川河畔の地名らしい。


巨椋の入り江が賑やかです。伏見の田から雁が渡り始めるようです。


秋風を受けて山吹の瀬が大きな音を立てる中、天雲を飛び翔ける雁の群れを見たのです。



二首とも、柿本人麻呂歌集からのもの。

雁が大騒ぎして田から飛び立ち、大空を元気に飛び回る姿を詠んだ歌。

そのまま味わいたい、自然を詠んだ名歌と思う。



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