第532話秋立ちて 幾日もあらねば この寝ぬる

安貴王の歌一首


秋立ちて 幾日もあらねば この寝ぬる 朝明の風は 手本寒しも

                        (巻8-1555)

※安貴王:湯原王と同じく士貴皇子の血を引く人(孫)


立秋となり、まだ幾日も経っていないのに、起きた時の明け方の風は、すでに袖口に寒さを感じさせる。


初秋の生活実感、季節感を実にわかりやすく詠んでいる。

これは現代人でも、すぐにわかる感覚と思う。

研究者の中には、「独り寝」の寂しさを詠んだ、そんなとらえ方もあるけれど、そのほうが無粋。

単に季節感を詠んだとしたほうが、すっきりとした感じになる。

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