第531話夕月夜 心もしのに 白露の

湯原王の蟋蟀の歌一首


夕月夜 心もしのに 白露の 置くこの庭に こほろぎ鳴くも

                      (巻8-1552)

※蟋蟀:現代のコオロギと同じ可能性がある。尚、平安期にはコオロギをキリギリスとも言ったので諸説あり。マツムシ、スズムシ、キリギリスなど、秋に鳴く虫の総称と考えるほうが無難。


美しい月が空にかかる夕暮れに、白露が降りたこの庭で、心せつなくコオロギが鳴いている。


心がせつないのは、コオロギではなく、詠み手である湯原王。

いや、この心切なさは、どんな時代の日本人もわかる思いではないだとろうか。


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