第421話衣に寄せき(2)

おほろかに 我し思はば 下に着て なれにし衣を 取りて着めやも

                         (巻7-1312)

※下に着てなれにし衣:人知れず馴れ親しんできた女。


おろそかに思うのなら、肌着にしてよれよれになった着物を、また着たりすることなどありえないよ。


おそらく女の身分が、男より低かった。

女は身分を理由に、結婚をためらった。

しかし、男は慣れ親しんだ女であり、少々容色が衰えたとしても、かまわない。

「大切に思えばこそ、人に知られないようにしてきた」

「あなたそのものが好きなのだ」と結婚を迫る。





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