第376話羇旅にして作りき(11)

あさりする 海人娘子らが 袖通り 濡れにし衣 干せど乾かず

                        (巻7-1186)


漁をする海人の娘子たちの袖までしっかり濡れてしまった衣は、干してもすぐには乾かないようだ。


ずぶ濡れになって漁をして、その衣を干しても、すぐには乾かない。

漁にて生計を立てる娘たちの厳しい生活を、干しても簡単には乾かない衣を見て、憐れむのだろうか。

しかし、そんな状況でも、生きている娘子の健気さも、認める。

これも都では見られない生活風景を、そのまま詠んでいる。

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