第377話羇旅にして作りき(12)
妹が門 出入りの川の 瀬を早み 我が馬つまづく 家思ふらしも
(巻7-1191)
※妹が門:妻の家に出入りする意味から、出入りにかかる枕詞。
※出入川:未詳。紀伊の国を目前にした大和にある川と推定されている。
妻の家の門を出入りするという、その川の瀬の流れが早いので、私の馬がつまづいてしまいました。これは家の者が私の事を心配しているからのようです。
白たえに にほふ真土の 山川に 我が馬なづむ 家恋ふらしも
(巻7-1192)
※真土の山川:奈良県五條市と和歌山県橋本市隅田の境にある真土山の西側を流れる落合川。
白い布のように照り映える真土の山を流れる谷川で、私の馬が進むのを悩むのです。
これは家の者が私を恋慕っているからのようです。
古代では、川で馬がつまづく、歩みをためらうと、家の者が自分を思っている、恋慕っていると考える、そのような発想があったようだ。
「川を渡る」という行為は、別の世界に行く意味もある。
その行為を目前にして、馬の足もためらうけれど、馬に乗る本人も、不安を感じてしまうようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます