第359話摂津にして作りき(2)
さ夜ふけて 堀江漕ぐなる 松浦船 梶の音高し 水脈速みかも
(巻7-1143)
※松浦船:肥前の松浦で造られた小舟。難波の堀江航行にも用いられた。
夜が更けて難波の堀江を漕いでいく松浦船は、櫓の音が高いようです。水の流れが早いからなのでしょうか。
悔しくも 満ちぬる潮か 住吉の 岸の浦廻ゆ 行かましものを
(巻7-1144)
残念なのですが、潮が満ちてきてしまいした。住吉の海岸を浦を伝って行きたかったのですが。
妹がため 貝を拾ふと 茅渟の海に 濡れにし袖は 干せど乾かず
(巻7-1145)
※茅渟の海:現在の堺市から岸和田市あたりにかけての海岸。
彼女のために貝を拾おうと、茅渟の海岸で衣の袖を濡らしてしまい、干すのですがまだ乾かないのです。
めづらしき 人を我家に 住吉の 岸の黄土を 見むよしもがも
(巻7-1146)
愛しい人を私の家に迎えて住まわせたい、そんな思いにさせる、ここ住吉の岸の黄土を見る手立てはないものでしょうか。
難波周辺で行われた宴席の歌。
まず、難波の景色を詠み、住吉の海岸、貝拾い、染料として用いる黄土を詠む。
単純に景色や有名な貝や黄土を褒めているという説。
それと、全て彼女や遊女に逢いたいけれど、宴席が始まってしまって、なかなか逢いにはいけない思いを、ほぼ戯れ歌のように歌い合っているとの説がある。
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