第354話井を詠みき
落ちたぎつ 走り井水の 清くあれば 置きては我は 行きかてぬかも
(巻7-1127)
※走り井:水量豊かな山中の自然井。
あしびなす 栄し君が 堀りし井の 石井の水は 飲めど飽かぬかも
(巻7-1128)
※あしび:ツツジ科の常緑低木。早春に白く小さな花を房状につける。
※石井:石で囲った井戸。多額な費用を必要として、富裕な人でないと作れない。庶民は板井が一般。
ほとばしり落ちる走り井の水が実に清らかなので、私はそれを見捨てて立ち去ることは難しいのです。
馬酔木の花のように栄えた君が掘られた井戸の、その石井の水は、いくら飲んでも飲み飽きるほどがないほど美味なのです。
一首目は、旅先の山中での自然井を賛美する。
二首目は、人口の井戸を賛美する。君は地域の過去の有力者らしい。
いすれにせよ、水は生命の根源。
その生命の根源を生み出す井戸を、自然井と人工井を並べて賛美している。
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