第306話いざ子供 香椎の潟に

冬十一月、大宰の官人等の、香椎の廟を拝み奉、訖はりて退き帰りし時に、馬を香椎の浦に駐め、各懐を述べて作れる歌


師大伴卿の歌一首


いざ子供 香椎の潟に 白妙の 袖さへぬれて 朝菜摘みてむ

                       (巻6-957)


※香椎:福岡県北東部の海辺。廟は仲哀天皇と神功皇后を祀る宮。


冬11月、大宰府の官人たちが、香椎廟に参拝し、その後大宰府へ帰る時に、馬を香椎の浦に留め、各人がそれぞれの思いを述べて作った歌。


さあ、みんな、香椎の干潟で、袖を濡らして、朝菜を摘もうではないか。


仲哀天皇と神功皇后には、都から来た官人として、心を尽くして挨拶を行う。

その後は、神聖な宮のある香椎の浦の海藻を摘み、体内に取り入れ、神聖な御霊のご加護を願う。

目の前には、実際に海藻を摘んでいる海女たちも多く、いたのかもしれない。

赴任した土地の人々の活力ある姿も、魅力にあふれていたようだ。






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