第240話かくばかり 恋ひつつあらずは

大伴宿祢家持の歌一首


かくばかり 恋ひつつあらば 石木いわきにも 成らましものを 物思わずして

                               (巻4-722)


これほどまでに 恋し続けてしまうのならば、石や木になってしまいたい。

そうすれば、物思いなどに苦しむことはないだろうに。



どんな人に天も、そして天子でさえも 抑えきれない情愛というものがある。

実らぬ恋、通じない思いに、苦しみ続けるのなら、感情のない石や木になって、楽になりたい。


かくして、恋の悩みの堂々巡りを続けることになる。


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